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 二年前に「僕らの書展2014をやろう。」と決めた。2010年、2014年と栃木県総合文化センターで開催させていただいたこの展観だが、毎回楽しんで苦しんで書いてきた。「今度は、東京でやりたい。」とひそかに思ってきた。そして何とか、その思いは実現できそうだ。

 6月29日午後に出品作品検討会を行った。これまでに書きためた作品、そして、さっきまで書いていてまだ乾いていない作品を、講師としてお招きした柿下木冠先生に通観していただいた。先生は、私たちに「この作品にしなさい。」とは決して仰らない。眼前に出てきた拙作を見ながら、私は、これまで何をしてきたのか、何をやりたいのか、という本質的な問いに答えようとしていたようだ。きっと、他の出品者たちもそうであった。翌日、そうして決まった作品27点を表具店へ持参した。検討会から十日が過ぎ、校務や展覧会準備などに追われているが、なんとなくボーっとしている。疲れているのか、チョットだけ命を燃やしてしまったのか。

大学時代、恩師にいただいた本の中に、こんな一文がある。

 

   真に新しい作品が、現代を生きる冒険の精神から生まれてきたかどうか。

 

 鈴木史楼氏(書道史家)の評論集『現代書の冒険者たち』の「あとがき」の一文である。現代書とよばれる書が萌芽してから約七十年が経ったが、その間、先人たちはさまざまな試み、つまり芸術としての書への果てしなき「冒険」を続けられてきた。私は、平成に生まれ、書を志すことができた。しかし、私たちの書は先人たちの「冒険」の結果に安息しているに過ぎないのではないか、と考えてしまうこともある。おそらく他の出品者も、どうにかして新しい書を、今までに見たことのない作品を、と意気揚々と今回展の作品制作に臨んでいたはずだが、それはそう易くはない。けれども私は、あの一文で救われた気になっている。現代書に取り組む私たちは、やはり、「現代を生き」ているのである。大学の講義に出席したり、就活をしたり、働いたり、遊んだり、恋したり…

 必死に今と向き合おうとしている私たちには、「現代を生きる冒険の精神」が少しく内在しているのではないか、と思う。そして、拙くもこの精神に燃えて、今回展の作品制作に没頭できたことは、どうにか「真に新しい作品」への嚆矢となってはいないか、となんとも楽観的に考えている有様である。

 

 もしもいつかまた「僕らの書展」が開催できたら、いやできなくても、どこかでみんなで集まって、青春だね、って言えたら嬉しい。

 

 本当に、ありがとうございました。

2014.7.8 達也記

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